USB空き端子のノイズ対策としてのUSBターミネーター
PCやネットワークプレーヤー、NAS等に付いている複数のUSB端子のうちUSBケーブルで機器を接続していない空き端子ではノイズを拾ったり、この空いたUSB端子からかなり盛大にノイズを撒き散らしたりしています。
これらのオーディオ用に使うPCや機器のUSB端子のコネクタはUSB Type-A と呼ばれるタイプのもので、その端子配列は以下のようになっています。
- 電源+(+5V)
- DATA-
- DATA+
- 電源-(GND)
1番端子と4番端子の間に+5Vの電源を接続し、2番端子と3番端子の間にデータ信号を接続するようになっています。
このUSB端子のコネクタに何も接続しない状態では、端子がアンテナのようになってノイズを拾ってしまいます。
その対策として、2番端子と3番端子の間を終端抵抗を介して接続することでデータ信号にノイズが乗るのを防ぎ、1番端子と4番端子の間にコンデンサ(キャパシタ)を接続することにより、高周波ノイズをGNDに逃がしてやれば、空き端子からのノイズを低減することができます。
この対策を実現するために用いられるのが、USBターミネーターです。
USBターミネーターは空きUSB端子に挿入するUSBメモリのような形をしています。
USBターミネーターを空きUSB端子に差し込むことにより、上記の電気的なノイズ対策をするとともに、USB端子の機械的な振動もある程度抑えることができ、機械的振動が原因で発生する電気的なノイズの低減も期待できます。
このようなUSB空き端子のノイズ対策のために、USB空き端子に挿して電源ノイズや信号ノイズを軽減させ高音質化するUSBターミネーターが市販されていますが、どれを選んだら良いか迷ってしまいますよね。
USBターミネーターの比較
現在発売されている主なUSBターミネーターについて一覧表にまとめてみました。
メーカー/型番 | 税込価格(円) | 寸法(mm)、重量 | 特徴 |
JS PC Audio/
UTX1 |
7,700 | 18(W)x44(D)x10(H), 6.3g(実測) | SEコンデンサ、薄膜高分子積層コンデンサ、ファインメットビーズ |
PIONEER/
APS-DR001 |
6,600 | 21(W)x44(D)x9(H), 7g | 金メッキコネクタ |
PIONEER/
APS-DR002 |
22,000 | 20(W)x60(D)x12(H), 25g | 金メッキコネクタ、出力口付き |
PIONEER/
APS-DR003 |
110,000 | 20(W)x60(D)x12(H), 25g | 金メッキコネクタ、出力口付き |
PIONEER/
APS-DR005 |
16,500 | 21(W)x59(D)x13(H), 13g | 金メッキコネクタ、出力口付き |
Panasonic/
SH-UPX01 |
23,200
(アマゾン) |
26(W)x67(D)x13(H), 31.8g | 金メッキコネクタ、SEコンデンサ等 |
iFi Audio/
iSilencer3.0 |
7,344
(参考価格) |
32(W)x92(D)x10.6(H), 27.2g | USB3.0対応、金メッキコネクタ、アクティブノイズキャンセル回路、出力口付き |
ACOUSTIC REVIVE/ RUT-1 |
16,536 (アマゾン) |
18(W)x45(D)x10(H), 7g | 制振効果 |
USBターミネーターの選び方
どのようにしてUSBターミネーターを選んでいけば良いかを簡単に説明します。
①USBターミネーターを挿したい空きUSB端子の周辺の空きスペースを確認します。
例えば、すぐ隣にUSBコネクタや他のコネクタが挿してある場合には、USBターミネーターの寸法によっては干渉してしまって挿さらないからです。
②周辺の空きスペースが確認できたら、候補となるUSBターミネータの外形寸法を確認して周辺のパーツと干渉しないものを選びます。
③対策したいUSB空き端子が何箇所あるか、USBターミネーターの価格、予算を考慮して候補となるUSBターミネーターを絞り込みます。
④その他の条件として、空き端子に挿すだけでなく、出力口が付いていてその先に別のUSBターミネーターを挿したり、USBケーブルを接続したりするような使い方もしたいのであれば、出力口(USBメス)が付いているタイプを選ぶと良いでしょう。
⑤絞り込んだUSBターミネーター候補の中から、他の仕様等を比較して好きなものを選びます。
周辺のパーツと寸法的に干渉してしまうけれども、どうしても使いたいUSBターミネータがある場合、USB延長ケーブルを使えば接続可能となる場合があります。メーカーが推奨する使い方ではないかもしれませんが、ターミネーターとして使うことはできると思います。
効果がどの程度あるかは、実際に使ってみないとわかりませんが、電気的なノイズ対策としては、JS PC AudioのUTX1、PanasonicのSH-UPX01、ACOUSTIC REVIVEの RUT-1あたりがオーディオ用の高品質部品を使っているので良さそうです。
iFi AudioのiSilencer3.0のアクティブ・ノイズキャンセル回路は複数個利用すると効果が高まると書かれているので、多くの空き端子に挿入する場合には良いかもしれません。
これらの中で、最もコストパフォーマンスが優れていると思われる JS PC AudioのUTX1を試してみましたので、テスト結果については、こちらの記事を参照してください。