・CD再生の品質上の問題点
CD再生における品質上の問題点は主に次のようなことだと考えます。
1 CD盤を高速回転させてレーザー光を盤面に当て、反射光をピックアップ部で電気信号に変換しているのですが、盤を回転させるためのモーターから発生するノイズや盤面にレーザー光を当てる際のオートフォーカス制御誤差に伴うノイズの影響を受けてしまうこと。
2 ピックアップで取り込まれた電気信号をDA変換回路でアナログ信号に変換しアナログバッファを介してライン出力するのですが、DA変換回路の完成度が低いため、CDに記録された音楽信号を精度良くアナログ信号に変換できていない場合があること。
3 CDプレーヤー内蔵のDA変換回路ではなく、外部のDAコンバーターに接続するためのインターフェースとしてSPDIFという規格があるのですが、この規格自体が精度的な観点からは問題があること。
以上のような問題点があるので、高額なCDプレーヤーを使ったとしても、十分な品質を得ることが難しかったと考えられます。
・PCオーディオの登場
半導体技術の進歩により複雑なソフトウェア処理が高速に行えるようになって来ました。ハードディスクも大容量のものが安価に入手できます。
そのため、音楽の情報をCDに記録して読み出す代わりに、ハードディスクにファイルとして記録しておき、それをPCで動作するソフトウェアで読み出して音声データとしてDAコンバーターに入力してやれば音楽を再生できます。
ハードディスクの代わりに、USBメモリのような半導体メモリに楽曲ファイルを記録してやれば、データを読み出す際にメカ的な動作を伴いませんので、ノイズ的には更に有利になると考えられます。
現在のPCはネットワークを介してLANやインターネットへの接続があたりまえになっています。
従って、楽曲ファイルを保存するために、ハードディスクやSSDといったストレージをネットワーク接続したNAS(Network Attached Strage)を使用することができます。
・ネットワークオーディオの登場
PCはもともとオーディオ用として設計されたものではありませんので、ノイズを多く発生し、オーディオに使用するのは好ましくないと考えられたことや、PCに詳しくない音楽ファンにとってPCを使ったオーディオシステム自体がとっつきにくいことから敬遠されることも多いかと思われます。
そこで、PCに代わってネットワークを介した音楽再生に特化したネットワークオーディオプレーヤーが登場しました。
しかしながら、PCオーディオと同様に、ネットワークオーディオにおいても、ただ単にネットワーク接続しただけでノイズに配慮しないで使用すると、とても品質的に満足できるような再生は困難です。
特にクラシック音楽の再生において重要な楽器の質感等はノイズの影響を受けて損なわれ、聴くに堪えない音となってしまったため、これに懲りてネットワークオーディオ自体をやめてしまった方もいるようです。