高音質の圧縮技術を使用したMQA音源がe-onkyo等から供給されています。
MQAに対応している再生機器やソフトウェアはまだあまり多くありませんが、徐々に増えてきています。
今後のMQAの動向には要注目ですが、現時点で得られる情報から判断すると、MQAは音質面で非常に期待できそうです。
MQAとは何か?
MQAは”Master Quality Authenticated“(マスターの品質(音質)の保証)の略で、イギリスのボブ・スチュアート氏らによって開発された技術です。
人間の聴覚特性が周波数に対するよりも時間に対して鋭敏であることから、音楽においては時間に対する感覚が重要であるという点に着目しています。
アナログ及びデジタルのマスター音源の音質を高忠実度でデジタル伝送するために、MQAは特に時間領域の特性を重視しています。
スピーカーにおいてはタイムドメイン技術を適用した製品がありますが、MQAは音源におけるタイムドメイン技術と言えるのではないでしょうか。
MQAは何故音が良いのか?
人間が自然界の音を聞くときの時間的な分析力は従来は50μsとされていたのですが、ニューロサイエンス(神経科学)の研究によって、10μsで反応を示すことがわかりました。音楽家や指揮者はもっと感度が上で5~3μsということです。
人間の聴覚は年をとると衰えて高音が聞こえにくくなると言われていますが、時間的な敏感さは年齢では変わらないようです。
MQAは時間解像度が人間の聴覚感度10μsに近いのに対して、PCMではms単位の精度しかありません。その結果、音で感じる距離感のレベルがPCMに比べてMQAのほうがずっと良いことがMQAの音の良さの大きな理由です。
また、PCMの場合、AD/DA変換において使われているフィルターが”時間のボケ”を増加させるため、時間的なフォーカス感が低下してしまうという問題もあります。
MQAでは音源から再生系までトータルで時間軸精度を確保するために、音源をMQAでエンコードし、それをプレーヤーでデコードしてDA変換する方法を採用しています。
MQAは高音質なのにデータ量も削減できる
MQAでは時間軸精度のために高いサンプリングレートの信号を扱うのですが、”音楽の折り紙”という独自の圧縮技術を使うことで、データ量を削減しています。
MQA音源
現状のMQA音源は全てPCM音源からの変換で作成されています。
元の信号から時間軸変動を抽出して補正することにより、本来の時間軸精度を復活させます。
今後はPCMの変換ではなく、MQAダイレクトレコーディングを行う取り組みが進んでいくと思われます。
リアルタイムエンコーダができれば、データ量削減できるので、ストリーミングや放送に使うことも考えられます。
PCMをMQAに変換するエンコーダーソフトやCDをリッピングする際に自動的にMQAに変換してくれる機能があれば便利ですね。
MQAデコーダー
【ソフトウェアデコーダー】
Audrivana Plus3というMac用ソフトで、最大96kHz/24bitまで対応しています。
【ハードウェアデコーダー】
MQAデコーダーを入れたDAC用ICが数社のICメーカーで開発中ということなので、完成すればMQA対応のデコーダー機能を搭載した製品が増えていくはずです。
現時点で入手できるDACとしては、iFi audioのZEN DAC Signature V2がMQA対応品としてコストパフォーマンスが良さそうですね。
また、MeridianのExplorer 2もMQA再生に対応した安価なDACでしたが、現在は入手できないようです。
【この記事を読んだ方におススメの記事はコチラ】
https://kimama2audio.com/audio/tidal-mqa/